財務諸表から倒産度予測

自己資本比率、流動資産、流動負債でわかる倒産度合い

財務諸表の自己資本比率、流動資産、流動負債を見れば、簡単に上場企業の倒産度合いが分かります。アーバンコーポレイションの財務諸表を見ながらやさしく勉強します。

流動比率を調べる

東証1部のアーバンコーポレイション(8868)は、2008年7月に300億円の転換社債を発行しましたが、90億円程しか資金調達できず、資金繰りに行き詰まり、2008年8月13日に民事再生法を申請して倒産しました。なお、2008年3月期には31,127百万円の当期純利益を上げていました。

それでは、アーバンコーポレイションの決算説明資料(平成20年3月期)の連結BS(連結財務諸表)を見ていきます。

1.流動資産

アーバン

最初に、資産の部の流動資産の合計額を見ます。流動資産は、556,301百万円です。現金預金が少なく、8割近くがたな卸資産で、売れていないことが分かります。流動資産は1年以内に現金化できる勘定科目ですが、今すぐ現金が必要となると厳しい数字です。

この資産の部の流動資産の額556,301をメモします。電卓も用意しておいてください。または、Excelに入力しておきます。

2.資産合計

同様に資産の合計額602,566も、メモするかExcelに入力します。

3.流動負債

次に、負債の部の流動負債の合計額を見ます。流動負債は、248,473百万円です。短期の借入金・社債が現金・預金の2倍あり、短期支払い科目の金額が多いのに気がつきます。流動負債は1年以内に支払期限が到来する勘定科目です。

同様に負債の部の流動負債の額248,473をメモするか、Excelに入力します。

4.流動比率を求める

これでひとつめの判断材料である財務分析指標の、流動比率を求めることができます。

流動比率は、企業の財務の安全性を判断する指標で、資金繰りに問題ないかを判断できます。一般的には150%あれば、当面の資金繰りに問題ないと言われています。この指標である程度倒産危険度が判定できます。

流動比率は次の式により計算します。

  • 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

◆ 流動比率 = 556,301 ÷ 248,473 ×100 = 223.8

となり、150%を大幅に上回っており問題の無い数値です。しかし、サブプライムに端を発した不動産不況の波をもろに受けて、たな卸資産が異常に多く売れない状態だったようです。たな卸資産の額は相当減額する必要があるでしょう。また現預金が少なすぎ、資金繰りが相当厳しいことも分かります。

これで第一のチェック完了です。アーバンコーポレイションの流動比率223.8% は数値上問題なしですが、売れていない棚卸資産の換金額を4割と見て計算すると、流動比率は118%と急低下します。次にもうひとつの指標をチェックします。

自己資本比率を求める

自己資本比率も企業の安全性を判断するも財務分析指標のひとつで、この比率が高いほど企業の安全性が高く、一般的には、50%以上が望ましいと言われています。通産省の商工業実態基本調査では、大企業の製造業平均値は40%、卸売業が22.8%、小売業が24%となっています。

最初に、純資産の部から株主資本を計算します。株主資本は資本金と剰余金の合計です。株主資本を計算すると110,598百万円になります。純資産から少数株主持分を引いても同じ結果になります。

これでもうひとつの指標である自己資本比率を求めることができます。

自己資本比率は、次の式により計算します。

  • 自己資本比率 = 株主資本 ÷ 総資産 × 100

では、アーバンコーポレイションの自己資本比率を計算してみます。資産の合計額は602,566百万円なので

◆ 自己資本比率 = 110,598 ÷ 602,566 × 100 = 18.3

となり危険水域です。有利子負債が多すぎて、収益をあげるには厳しい数値です。

結論

これで会社の健全度チェックは完了です。このふたつの指標だけで、ここの株の安全性がだいたい分かります。流動比率の数値自体は良いが、不動産不況の中たな卸資産が異常に多く、現金預金が少なすぎ、自己資本比率の数値も悪く、資金繰りに問題があります。投資対象としてふさわしくありません。