財務諸表を見ながら勉強
財務諸表を見るだけで、簡単に企業の倒産度が分かります。倒産したオリエンタル白石の財務諸表を見ながら一緒に勉強しましょう。
配当をしていても倒産
東証1部のオリエンタル白石(1786)は、2007年10月にオリエンタル建と東証2部の白石が合併して発足した会社ですが、資金繰りの悪化により、2008年11月26日に会社更生手続きを申請して倒産しました。2008年3月期には年間4円配当をしていましたが、9,732百万円の損失を出していました。配当をしていても楽観は禁物です。
財務諸表を開く
早速倒産度を調べてみましょう。オリエンタル白石の財務諸表の自己資本比率、流動資産、流動負債の三つの数値を見て、簡単な計算をするだけです。

最初に、資産の部の流動資産の合計額を見ます。流動資産は、67,655百万円です。現金預金が少なく、未成工事支出金(工事に使った原材料費や人件費など)が多いですね。流動資産は1年以内に現金化できる勘定科目ですが、今すぐ現金が必要となると厳しい数字です。
流動資産は、1年以内に現金化できる勘定科目です。
2.資産合計
資産の合計額は96,932です。
3.流動負債
次に、負債の部の流動負債の合計額を見ます。流動負債は、69,879百万円です。支払手形・工事未払金等すぐにも支払いが必要と思われる科目の金額が多いのに、気がつきます。
流動負債は、1年以内に支払期限が到来する勘定科目です。
4.流動比率 96.8%
流動比率は、一般的には150%あれば、当面の資金繰りに問題ないと言われています。
流動比率は次の式により計算します。
- 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
では、オリエンタル白石の流動比率を計算してみます。
◆ 流動比率 = 67,655 ÷ 69,879 ×100 = 96.8
となり、100%を切っているので危険水域です。支援先があったり、業績が回復すれば何とかなりそうな数字ですが、業績は悪化の一途で、すぐにでも資金繰りに困るでしょう。
これで第一のチェック完了です。オリエンタル白石の流動比率 96.8% かつ、前期97億円の損失を出しているので要注意です。次にもうひとつ指標をチェックします。
5.純資産
次に、純資産の部の純資産合計額を見ます。純資産合計は、15,392百万円です。

6.自己資本比率 15.8%
通産省の商工業実態基本調査では、大企業の製造業平均値は40%、卸売業が22.8%、小売業が24%となっています。
自己資本比率は、次の式により計算します。
- 自己資本比率 = 株主資本 ÷ 総資産 × 100
では、オリエンタル白石の自己資本比率を計算してみます。資産の合計額は96,932百万円なので
◆ 自己資本比率 = 15,392 ÷ 96,932 × 100 = 15.8
となりこちらも危険水域です。有利子負債が多すぎて、収益をあげるには厳しい数値です。
判定結果
これで会社の健全度チェックは完了です。自己資本比率と流動比率のふたつの指標から、オリエンタル白石への投資は危険というのが結論です。
企業名 | 自己資本比率 | 流動比率 | コメント |
---|---|---|---|
オリエンタル白石 | 15.8% | 96.8% | 投資不適格 |